ガキ的愛情表現の結末【完】
「だって……転校したくなかったから」


そう言って目を伏せた有希は、ふと顔を上げて哲也を見つめた。



そして。


「東と……離れたく……ない」


その瞳から、涙の粒がこぼれ落ちた。



かつて、有希が泣くところを見たことがあっただろうか――。


約5年の日々を振り返ったが、一度もなかった。



そんな有希の、涙。


好きな女の子の、涙ーー。








誰もいない廊下――。


「――好きだ」


哲也は有希を抱きしめた。

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