ガキ的愛情表現の結末【完】
「ユウ、よかったね」


裕之がイケメン全開の甘い微笑みを有希に向けると、


「ちょっと、ちょっと――」


哲也は2人の間に素早く割って入った。


「ヒロは、これから爽やかな笑顔禁止ね」

「なんだよ、テツ。余裕ねぇな」

「うるせ~」

「大丈夫だよ、テツ。
 ユウはテツのことが大好きなんだから――ね」

「……うん」


部員たちは、目を疑った。


恥ずかしそうにうなずいた有希が、可愛く見えてしまったからだ。


「恋の力って偉大。渡辺が女に見える」


しかし、すぐに幻影は消えた。


「もともと女やっちゅうねん」


関西風にツッコミを入れた後、有希はガハハと笑った。





そして。

大騒ぎしているサッカー部員たちを。


職員室の窓から、氷川先生が優しい瞳で見つめていた。

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