ガキ的愛情表現の結末【完】
そこは、有希のイメージとはとてつもなくかけ離れた、ピンクのフリフリ――メルヘンの世界だった。


「DVD、ここから好きなの選んで。
 あ、1枚だけだよ。
 私の大事なお笑いコレクションなんだから」


メルヘンルームには一切触れない有希。


だが、哲也はどうしてもスルーすることができなかった。


「なんていうか……カワイイ部屋だね」

「あ、これ、お母さんの趣味。
 ここに引っ越して来てからなんだかこだわり始めちゃってさ。
 真由たちにも、ちょっと私のイメージじゃないねって言われたけど」


「いやいや、『ちょっと』じゃねぇだろ」

「それ、どーゆー意味?」


有希の鋭い目つきに、


「あ、いや。なんでもありません」


哲也は口を慎んだ。


大事な試合の前日に、ケンカなどしていられないからだ。

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