ガキ的愛情表現の結末【完】
「それにしても、アンタがお笑い見たいなんて珍しいね」

「なんか緊張しちゃってさ」

「なんで~?」

「なんでって、明日決勝じゃん。
 勝ったら県大会だけど負けたら引退なんだぞ」

「アンタでもそんなことで緊張するんだ?」

「オレのハートはガラスでできているんだぜ」

「あ~、ハイハイ。
 で、緊張をほぐすために、可愛いカノジョに会いに来たってワケね」


図星を指された哲也は、


「可愛いカノジョなんてオレにはいないけど?」


ついつい憎まれ口を叩いてしまった。


「もう、アンタってほんと素直じゃないよね」

「おまえだって人のこと言えないだろ~」


からかうように哲也が言うと、有希は一瞬黙り込んだが、


「……じゃあ」


いたずらっぽい表情で哲也を見つめた。


「素直になっても、いい?」


その瞳に、


「い、いいけど……」


哲也はドギマギして目を逸らした。

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