キャンプ
山道を走り続けていたら、一本の長いトンネルに差し掛かった。

「トンネルってなんか息苦しいよね」とりこが言った。

それは俺も感じる事だった。

圧迫感なのか、わからないが息苦しさを確かに感じる。

黄色いネオンが所々で消えていて、余り整備されたふうでもない。

トンネルの裂け目からでる水でできた影でさえ、いろんなものを連想できた。

そして俺はこの時、確かに人影を見たんだ。

こんな誰も通りそうにないトンネルの中腹あたりにただ呆然と突っ立ている人影を。
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