愛と哀





やや早足で、春田くんの元へ歩み寄って、落ちている教科書を拾って……。





「はい」



春田くんに渡した。






「あの……大丈夫?」


「……」


「酷いよね……ああいうの」


「……」




春田くんは無言で乱暴に教科書を私の手から取り、俯いてしまった。



やっぱ鬱陶しいよね?
急に馴れ馴れしく話しかけたら。





私は逃げるように、走ってその場を離れた。




< 10 / 283 >

この作品をシェア

pagetop