愛と哀




慌ててアルバムを本棚に戻した。




「春田くん……」


振り向くと、すぐ後ろに彼が立っていた。




「お、お帰りなさい……」


「ただいま。何してたの?」


「……」


「さっき本棚に戻してたけど、アルバム見てたんでしょ?」



私の行動を彼は見透かしてるみたい。


素直に「はい」と返事をした。




「そっかぁ……。ここはあの女の書斎みたいなもんだよ。昔は本が好きだったみたいだから」


お母さんの?
じゃあ、もしかして……。



「このアルバムは」


「うん。俺の母親のだよ」



< 102 / 283 >

この作品をシェア

pagetop