愛と哀





「それよりも」


春田くんは私の体を離した。





「そろそろキスマークが消えてきたから、新しく付けないとね」


「あ……」



咄嗟に首筋のキスマークがある辺りを手で押さえた。




外出禁止を言いつけられたあの日。


後で鏡を確認したら、首に虫刺されみたいな赤い印。


これがキスマークだと、春田くんは満足そうな顔で笑ってた。




「おいで。寝室に行こう?新しい印を付けてあげる」


「……うん」



手を引かれるがままに寝室へ。




ベットに押し倒されて。

馬乗りになった彼は、またあの時みたいに私にキスマークを付けた。




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