愛と哀





「……」


「ひっ……!!」



無言の春田くんは鋭く尖った大きい刃の包丁を持って、こっちに向って歩いてきた。




「いっ……いやぁっ……!!!」


怖くなって。
急いで逃げようとした。



リビングのドアの方に必死に走ったが。





―グイッ



「きゃっ……!!」


背後から髪の毛を引っ張られた。



その拍子に足を滑らせて、私はその場に尻もちをついた。




「……」


彼は無言で包丁の刃先を私のすぐ目の前に突き出した。



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