愛と哀




私が再びベンチに座ると、玲央さんは話を切り出した。



「七乃ちゃんさ、最近どう?」


「どうっていうのは……」


「楽しい?あいつとの生活は」


「えっと……」



恐らくここは「うん」というべきところ。


なのに……。




「楽しくないの?」


「っ」



何で私、素直に「うん」って言えないの?



黙り込む私を見て、玲央さんは大きなため息をついた。





「苦しいの?七乃ちゃん、なーんか浮かない顔してるからさ。明らかに幸せそうには見えないよ?」


そう、なの?
私が浮かない顔してるの?



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