愛と哀
「別に、そういうわけじゃ……」
「でもあいつ、独占欲強いんだね。だって首筋に」
「あっ……」
玲央さんは私の首筋を指さした。
私は慌ててキスマークを隠した。
「苦しいなら、吐き出せば?俺でよかったら聞くけど?」
「だからっ……苦しいって事は……」
春田くんは私を愛してくれてるんだもん。
愛されてるのに、
苦しいだとか……不謹慎だよ。
「でも強過ぎる愛情は、時には人を深く苦しめる」
「……」
「夕麻はさ、多分あの母親から全く愛情を注がれずに育っただろうから。上手な愛し方なんて全く知らないだろうね」
上手な愛し方を知らないのは、恐らく私も。