愛と哀
「ま、俺は引き取られた家でたくさん愛されて育ったけどね」
それって自慢?
きっとこの人には理解できないだろうな。
愛されない事の辛さが。
「七乃ちゃんさ、あいつに変な愛情を注がれて苦しんでるんじゃないの?」
ズバッと、図星に近い事を言うもんだからドキッとした。
この人……。
何で、わかるの……?
「実は、最近……学校を辞めたんです。外出は一切禁止って言われて。私が他の人と少しでも関わるのが嫌みたいで。おまけに春田くん、家にいる時は私へのスキンシップが激しくて……」
あ……これじゃあ愚痴言ってるみたい。
馬鹿だ、私。
優しい春田くんに対して、こんな……。
「へーえ。って事は七乃ちゃんは今、大きな牢獄に囚われたお姫様状態って事か」
お姫様なんて……大袈裟な。
それに私は、
そんな可愛いモノじゃないよ。
そんなに……たいそうな存在じゃない。