愛と哀
私の名を呼ぶ声。
その声を聞いた瞬間、震える体。
「春田、くん……」
「夕麻じゃん」
「七乃っ……!!」
走って駆け寄ってきた春田くんは怒ったような顔をしながら私を抱き締めた。
夢の中と同じくらい、強い力で。
「家に帰ったら七乃がいないから、心配したじゃん!!外出禁止って言ったのに」
「ごめんなさいっ……」
怒ってる。
でもこれはきっと悪いのは私。
「しかも……何で、こいつと」
「すこーし七乃ちゃんに話があってさ」
「はぁ!?七乃に近づくんじゃねぇよっ!!」
玲央さんに掴みかかりそうになった春田くんを慌てて止めた。