愛と哀
「だってソックリだったからさ。写真に写ってた男に。俺の父親に……」
春田くんは切なそうにフッと笑った。
そして床に置いてある包丁を再び手に取った。
「っ……」
「そんなに信じられないの?」
「だって……」
「確かに俺達はあまり似てないかもしれない。それでも正真正銘の兄妹だから。DNA鑑定をしてもらったから間違いない」
知ってたんだね、春田くんは。
私達が兄妹だって。
「いつから、知ってたの?私達が……兄妹だって……」
春田くんは包丁の刃を指で撫でながら。
「結構前から」
平然と答えた。