愛と哀
ただ1つ確かなのは、春田くんに関してほんの少し……。
「なーなの。こっち向いてよ」
「……」
「そっぽ向いてないで、顔はこっちに向けて?」
彼は両手で私の顔を包み込み、強引に自分の方を向かせた。
「可愛いね。七乃の可愛い顔、ずーっと見てても飽きないよ」
私の顔のどこが可愛いの?
可愛くないよ。
容姿端麗な人にそんな事を言われても、嫌みにしか聞こえない……。
やっぱ春田くんっておかしい人だ。
日が経つにつれて、私は春田くんに嫌悪感を抱くようになっていった。