愛と哀
生きてるのか。
死んでるのか。
見ただけじゃわからない。
階段を降りて生死を確認したいけど、首輪のせいで行けない。
「あの女、多分さ……本気で好きだったんだろうね。七乃の父親の事が」
「……」
「だから今でも、事故死したあの人の面影を求め続けてるんだよ。そして……あの人の血を引いてながらも、ちっともあの人に似てない俺を愛せないんだろうね」
力が抜けたみたいに、その場に座り込んだ。
足に力が入らない。
立てない。
動けない。
「ま、俺だって愛情をくれない母親なんか大嫌いだけどね。でも七乃の事は大好き」