愛と哀
逃げてるうちに、辺りは暗くなろうとしていた。
もうすぐ夜がくる。
夜がくる前に、どうにかこの森を抜けたいのに……。
「わっ……!?」
さすがに疲れが出てきたのか、途中躓いて派手に転んだ。
膝を擦りむいたが、気にしてる暇はない。
ズキズキ痛む膝をさすって、再び足を走らせた。
あぁ、足が痛い。
体中がダルイ。
膝がもう……ガクガクする。
「おーい!!七乃ー!!」
後ろから。
遠くの方から夕麻くんの声がする。