愛と哀
最終章

悲しき終幕





「な、な……の……」


虫の息になりながらも彼は私の名前を呟き続けた。



床には血がどんどん広がっていく。

彼の真っ赤な血が。





「愛してくれて、ありがとう……」



私がそう言うと彼は幸せそうに笑った。




彼はゆっくり目を閉じた。

私の名前を呟くのも止めた。


浅くなってきた呼吸はやがて……。




「夕麻くん……?」



彼は呼吸をしなくなった。




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