愛と哀
「うち、ここだよ……」
しばらく歩いて着いたのは、1階建ての築40年の古い家。
ものすっごいボロ家だ。
「ここが七乃の家か。ヤバ、緊張してきた」
「とりあえず入って……」
彼の家の中に入れ、急いでリビングの前を素通りして自分の部屋に駆け込んだ。
「七乃……家族の人にあいさつ」
「だ、大丈夫だよ。あいさつなんて……しなくていいから」
「玄関にあったハイヒール、お母さんのでしょ?」
「いいよ。会わなくて」
きっとお母さん、今日も機嫌悪いと思うから。