愛と哀
「それにしても、七乃はあの母親にいつも乱暴な扱いをされてるの?」
何て答えればいいのか。
黙り込むしかなかった。
その沈黙を彼は図星として受け取ったらしい。
「そっか。じゃあ……もっと殴ってやればよかったね」
笑顔で、とても恐ろしい事を言った。
相手は仮にも女なのに、容赦がない……。
「七乃、殴られた箇所が痣になったりしてない?大丈夫?」
「ちょっ……」
彼は私の前髪を捲ったり、スカートの裾を捲ってきた。
慌ててその手を払いのけた。
「だ、大丈夫だから!!」
別に殴られるっていっても、頬を叩かれたりするくらいだし……基本的にお母さんは言葉で攻撃してくる人だから。