愛と哀






「それにしても、七乃はあの母親にいつも乱暴な扱いをされてるの?」




何て答えればいいのか。
黙り込むしかなかった。


その沈黙を彼は図星として受け取ったらしい。





「そっか。じゃあ……もっと殴ってやればよかったね」



笑顔で、とても恐ろしい事を言った。


相手は仮にも女なのに、容赦がない……。





「七乃、殴られた箇所が痣になったりしてない?大丈夫?」


「ちょっ……」



彼は私の前髪を捲ったり、スカートの裾を捲ってきた。


慌ててその手を払いのけた。




「だ、大丈夫だから!!」



別に殴られるっていっても、頬を叩かれたりするくらいだし……基本的にお母さんは言葉で攻撃してくる人だから。



< 48 / 283 >

この作品をシェア

pagetop