愛と哀
「え……冗談……?」
動揺しながら、そう聞き返したら。
「冗談と本気の区別は、ちゃんとできるよね?」
本気みたい。
春田くんは本気で私をここに……。
「あんな乱暴な女がいる家なんか、帰る必要ない。ずっとここにいればいいよ」
「……」
「七乃もその方がいいでしょ?あんな女と暮らすの、嫌でしょ?」
ゴクリと息を呑む。
まるで悪魔に惑わされてる気分。
「どうせあの女も、ほとんど家に帰らない。男と遊び歩いてばっかだからさぁ」
確かに彼の家は、いつも静かだ。
誰もいなくて閑散としてる。