愛と哀
こんな優しい人と暮らしたら、どんなに楽しいだろう……。
「七乃、うちにおいで」
「……」
「約束するよ。絶対に嫌な思いはさせないからっ……」
彼は少し必死になっていた。
ギュッと痛いくらいの力で私の手を握り締める。
「七乃が嫌がる事はしない。希望する事なら、何でもするよ。不便な思いはさせないから……。あ、もちろん変に手も出さないから」
本当に、いいの……?
こんな究極の選択を迫られたのは、多分初めて。
私の選択次第で、これから先の生活は大きく変わる。
恐らく人生最大の選択肢。
タラリと、冷や汗が額を伝った。