愛と哀





春田くんったら、意外と馬鹿だね。


こんな私のために……。



そんな優しいセリフを言ってくれるなんて。





「っ……」


「えっ……ちょ、どうした!?」



私が急に涙を流すもんだから、春田くんはアタフタし始めた。







「春田くんは……ヒーロー、みたいだね……」



あぁ、どうしよう。


涙が止まってくれないよ。



悲しいわけじゃないのに、涙が次から次へと流れて止まってくれない。




「俺がヒーロー?あはは。そりゃどうも」


「もしくは……王子様」


「へーえ、王子様かぁ。じゃあ七乃はお姫様だね」


「お姫様……」



なんともまぁ、くすぐったいセリフだ。




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