愛と哀
見ないで……。
私の顔なんて、見ないで。
「あ、あの春田くんって料理すっごく上手なんだね」
咄嗟に適当な話題を持ち出した。
「そう?」
「うん。男の子なのに、すごいよ……」
毎日、ご飯を作ってくれるのは彼。
私が作るって言っても彼は「七乃は好きな事してて」と言う。
春田くんは私をお姫様のように大切に扱ってる。
「まぁ、あの女は料理なんてしないから。つーか何もしないから」
「……え」
さっきまで柔らかかった表情は、一気に豹変した。
冷たい顔。
怒ってるみたい……。