愛と哀





そう思うと、胸がギュッと苦しくなった。



「七乃?」



椅子から立って、私は彼の後ろへと回り……。





「え……?」


「……っ」


「七乃、急に……どうした?」



後ろから、春田くんを抱きしめた。


ギュッと強く。
包み込むように。





「寂しかったよね……?ずっと、孤独の中にいて」


私も本当は寂しかった。
虚しかった。


誰も私を見てくれない。
助けてくれない。
必要としてくれない。



本当はすごく虚しくて、悲しかった。



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