今日僕は魔女を拾いました
2人がさゆりのドールハウスがあった場所を見るとそこにはもう何もなく、さゆりが買い物をした分のお金が置かれていた。


「えっと、何々??
買い物したものは、魔界への寄付になってしまったので、お金だけ戻させていただきます。
2人でのこれからの生活費にあててください。だってさ。

もともと僕の金だっつ~のに・・・あれ?どうしたんだ?」


「ごめん・・・ごめんなさい。
私何もないの。

もう魔力も、お金も、何もないの。
私だけしかないの。
私でいいの?」


「ああ、君だけでいいんだよ。
僕がそばにいてほしいから、君だけでいいんだ。

そりゃ、そんな贅沢はさせてあげられないけど・・・僕も適齢期なんだからさ。」


「私は地味な女だってもう知ってるでしょ。
私・・・博仁さんより年下なんだよね。
同じくらい生きれるんだよね。

私だけひとりぽっちじゃないんだよね。」


「あれ~もしかして・・・さゆりさんはそこ気にしてたの?
僕が老けて死んでいったらひとりだって?

そ、そっかぁ・・・僕が嫌われてたんじゃなかったんだ。
ひとりで洞窟に引きこもるみたいに言ってたのも・・・そっか。」


「誤解しないで!本当に引きこもって静かに余生を過ごせばいいって思ってたのよ。
それに、私は相手をカエルにしちゃ・・・うううっ・・・あっ・・・」


博仁はさゆりの口をふさぐように激しく唇を奪った。


「ほら・・・もう僕はカエルじゃないだろ。」


「あれ。そんな・・・じゃ、私は・・・。」


「そうだよ、おばあちゃんと同じ運命みたいだね。
君が嫌じゃなかったら、僕とずっと添い遂げてほしいんだ。
いいよね。」


「ダメっていうわけにはいかないでしょ。
できたてのホヤホヤの人間なんだから、きちんと教育してね。」


「う、うそだろ・・・まさか何にも前の知識がないとかいうのかい?」


「前の知識っていうと、朝ごはん作ったり?
犯人をばったばったと倒したりってこと?

魔法を使ってしていたこと以外は記憶だってバッチリあるわよ。
だから材料があればご飯は得意かも。

残念ながら、男の人を投げたりするのはできないわ。
試しにやってみましょうか?」


「いや、遠慮しとくよ。
きっと僕は君にふれたら、いけないことをしてしまいそうだからね。
キスだけじゃ、もう足りないし、今僕は・・・調子にのってるから。」


「まぁ・・・」
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