今日僕は魔女を拾いました
博仁はじっとさゆりの顔を見つめた。

(もしかして、さゆりさんは僕を・・・)


「ち、ちがうわ!!そうじゃなくて、私はおばあちゃんのことを知る手掛かりがもっとほしくて、あなたに接触を試みただけよ。」


「なっ!なぜ、何も声に出さなかったのに・・・僕の考えがわかるんだ?
それも魔力のせいかい?」


「あっ!!ご、ごめんなさい。
今のは呪われた私の力なの。

カエルにした相手の考えたことはその日ずっとわかっちゃうの。
1日だけだから、ごめんなさい。
明日はわからないようになるから。」


「そっか。
(僕のところにきてもおばあさんの記録なんて持ってないから、実家まで帰らないとな。
電車で3時間ほどのところだけど、きてくれるかな?)」


「もちろんよ!あっ、また読んでしまったわ・・・。」


「今のはわざと口に出さなかったのさ。
ほんとにできちゃうんだね。

僕は君に隠し事をしなきゃならないようなことはないから、読んでくれてもかまわないんだよ。
(Hなことをしようとしてもカエルにさせられるのは困るしなぁ。)」


「ぷっ!博仁さんってば!」


「初めてご主人様じゃなくて名前を呼んでくれたね。」


「あっ、申し訳ございません・・・。ご・・」


「博仁の方がいいよ。じゃ、実家へ行くからついてきて。」


「あの、場所を教えていただければ魔法で・・・」


「だめだよ。僕は車掌なんだから、お弁当を持って電車で行こう!」


「はい。博仁さん・・・。」



さゆりは魔法でハイキングなコスチュームに変身して、駅弁を片手に電車に乗って博仁の両親のいる実家へと向かうのだった。



「ただいまぁ!母さん、電話でちょっと話したけど、ご先祖様の記録みたいなのあるかなぁ。
とくにひいばあちゃんのがいいんだけど。」


「まあ、いきなりもどってきたかと思ったら・・・それより、そっちのかわいい方を紹介してよ。」


「あの、花篭さゆりと申します。」


「まぁかわいい声ね。もちろん見た目もとってもかわいいわ。
でも・・・まぁ・・・やだ・・・ちょっと・・・」


「母さん!もしかして犯罪だとか思ってないだろうな。
見た目は幼い感じでも、さゆりさんは僕より3つ下なだけなんだぞ。」


「えっ!そ、そうなの?ご、ごめんなさい。
私てっきり、中学生をだましたのかしら・・・って。」



「おいおい、完全に変質者扱いだろ!
僕は今の仕事が好きなのに、クビにはなりたくないって。」
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