君想い~密かに抱いた恋心~
あれから大竹くんとは距離が縮まって、
時間の許すときは一緒に登下校をしたりして。
だけど一方で瞬とはあれきりで。
執拗に迫ってきたり、
からかってくるようなことはなくなった。
このままじゃだめだって、わかってるんだけど…
あの時のことを思い出すとやっぱり
自分から近づこうなんて思えない。
「なっちゃん…難しい顔してる」
「美桜…」
「なっちゃん、私ね、なっちゃんのこと大好きだよ」
「…どうしたの?急に」
「けどね、今のなっちゃんは嫌い。
なっちゃん、なっちゃんは誰が好きなの?
大竹くん?優くん?それとも瞬くん?」
「そ、れは……」
「なっちゃんらしくないよ!
なっちゃんはいつも元気で笑ってて
きらきらしてるじゃん!
今のなっちゃんはなっちゃんじゃない!」
「美桜、やめなよ。
奈緒だっていろいろあるんだから」
「…………」
その場にいてもたってもいられなくなって
あたしは教室を飛び出した。