君想い~密かに抱いた恋心~
「あ、大竹くん!!」
「奈緒ちゃん!どうしたの?」
屈託のない笑顔で駆け寄られると、
なんだかこれからはっきりと断るのが
申し訳なくなって……
「あの……話があって」
「うん?」
「ずっと、ずっと待たせてて……」
「うん」
「けどやっぱり、あたしこの人じゃなきゃ
だめだって人がいて…」
「…うん」
「ずっと、中途半端なことして
待たせてて、ごめんなさい!」
「………奈緒ちゃん、顔あげて。
ちゃんと俺の事みて?」
大竹くんの優しい声にほっとしながら
ゆっくり顔をあげる。
「俺はね、好きな子が幸せならそれでいいんだよ」
あたしのほっぺに触れた大竹くんの手が
あったかくて、優しくて…
大竹くんの想いが切実に伝わってくる。
「好きになってくれて……ありがとう」
「うん……
けどね、俺諦めないよ。」
「…え?」
「俺の気がすむまで、
ずっと好きでいるからいつでもおいで。」
そう言う大竹くんの笑顔は、
今までのどの瞬間よりもかっこよかった。
「……ありがとう!」
「どういたしまして。
今から…行くんでしょ?」
「うん」
「そんな不安そうな顔しないで
頑張ってきな!」
大竹くんに背中を押されて、あたしは教室に走った。