初恋も二度目なら
確かに、黒い服を着れば、少しは痩せて見えるかもしれない。
でも、その幻想にすがって黒い服しか着ないというのは・・・ある意味「忍者」かもしれない。
自分の存在を目立たせないよう、消すようにひっそりと生きる、というところが。

「あ!そういえば部長?」
「なんだ」
「“変装”は、いつされるんですか?」

昨夜の電話時に、「二度とクレーム出されないよう、ブサイク男に変装してパーティーに潜入する」って言ってたけど、今の部長の服も顔も、普段どおりのまま。
つまり、ごくフツーにカッコいい状態だ。

「着いたらすぐ車内で決行する。なに、ほんの数秒で終わることだ」
「そうですか・・・」

一体、どんな変装をするんだろう。
しかも、ほんの数秒で、部長クラスのイケメンが、ブサイク男に変身できるの!?

私はそんな疑問を抱きつつ、運転中の部長をチラッと見ると、視線を感じたのか、部長の唇がフッと上向いた。

さすが部長!余裕あるっ!
・・・だからそうね。
私が心配する必要は、ないのよね。

< 150 / 256 >

この作品をシェア

pagetop