初恋も二度目なら
「・・・15人中13人から似合ってると言われた。この形は俺には似合わんと思うんだが」と部長は言うと、変装小道具として使おうとしていたべっ甲メガネ(会場内に持って行ってた)をダッシュボードに投げ入れた。

「そう思ってるのは部長だけですって」
「ま、小夜の言うとおりなんだろうな」
「部長は元がいいですから・・・。あの、部長」
「ん?」
「部長は・・・自分より背が高い女性とおつき合いをするのに、ためらいはありますか?」
「ない」
「あ、そう・・・」

即答ですか。

「3人目の野郎から、背のことを言われたのか」
「なっ、なぜそれを・・・っ!部長はあの状況で、会話聞いてたんですか!?」
「時々見ただけだ。会話まではもちろん聞こえなかったが」
「そぅ・・・」
「1時間で3人の男から声をかけられたんだ。その野郎どもの質はここでは問わないが、上出来だと俺は思うぞ」
「はぁ・・・あの。実は石塚さん、ってその3人目の方ですけど。その人から、“俺より背高いから対象外”と言われて・・・。でも私だって、あの人とおつき合いしたいとは思わなかったから、“最初から対象外です”と言い返したけど」と私が言うと、部長はクスクス笑いながら「よく言った」と言ってくれた。

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