初恋も二度目なら
「おいしい!部長もカキフライ食べてください!」
「じゃあひとつくれ」
「はい、どうぞ」
「・・・美味いなー。小夜」
「はい?」
「キス食べるか?」
「ぶっ、ぶちょうっ?!何言って・・・」
「これだ」と部長は言うと、キスの天ぷらを指さした。

「あ・・・それ、ですね。ハハッ。じゃあ、お言葉に甘えて」
「何照れてんだよ、どアホ」
「うっ」

・・・やっぱり「どアホ」って言われた・・・。

「そういえば。部長」
「ん?」
「今日はハンバーグ定食じゃないんですね」
「ああ。昨日食べたからな」
「あ・・・そう、でしたか。ということは、部長は昨日もここに食べに来たんですか?」
「ああ。仕事帰りに晩メシ食べにここに寄るのが習慣化してきたから・・・そうだな、週4日は来てるかもしれない」
「ええっ!そんなに!?」
「悪いか」
「いえいえ!そんなことないですよ?でも部長・・・お料理しないんですか?」
「一人だとなー、めんどくせーからたまーに。気が向けばする」

この言い方と声音からして、「気が向いたとき」はあんまりないってことね・・・。

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