初恋も二度目なら
「ヤツにメガネ外した顔を見せるほど、“仲が良い”のか。ふーん」

と言う部長の声が、なんとなーく不穏に響いてる気が・・・。

「おまえもう、社内の男とつき合わないんだろ」
「つき合いませんよ!あれは川端くんが私のメガネがどれだけ度が強いか、試しにかけてみたいって言うから・・・ちょっと!なんでふき出してるんですか」

でも目が笑ってないんですが・・・。

「なるほど。やっぱおまえニブい」
「はあ?何を言って・・・」
「あんなの、メガネを外したおまえの素顔を見たい口実にすぎん」
「ええっ!?」
「現にヤツは、おまえのメガネを1秒しかかけてないだろ」
「それは度が強いから、かけれなかったんでしょう?」
「・・・さっきも言ったが、ヤツはメガネを外したおまえの素顔を見たいがために、わざとメガネかけなかったんだよ!ついでに言えば、1秒でも長くおまえの素顔を見ていたいから、ヤツはすぐにメガネを返さなかったんだよ!ったく、そんな常套手段も分かんねーのか、おまえは」と部長は言うと、さも情けないという表情で顔を左右にふった。

・・・ちょっと。
なんで私が部長に呆れられなきゃいけないわけ?

「おまえは経験がなさ過ぎ・・・いや、俺以外の男と経験がないから、ま、仕方ないか」

またしても、余裕たっぷりな部長の言い方にカチンときた私は、タオルをカウンターに置くと、部長に手を差し出した。

< 19 / 256 >

この作品をシェア

pagetop