初恋も二度目なら
「ど~も~。改めまして、高原由紀夫ですぅ。“また”会えて嬉しいわぁ」
「は?じゃ・・“料理上手なユキ”って・・・」
「ユキオくんが婚活お料理教室の先生というのは、ホントですっ!で・・・2週間程前に、悠希さんがお教室へ遊びに来てくださって、それで偶然会って・・・ぶ、ぶちょう、ごめんなさい。うぅっ。私、あなたのこと、だましてた・・・」と、私が泣きながら謝罪をしている途中で、部長はフンと鼻を鳴らした。

そして、部長は私のメガネを外すと、ポケットからハンカチを出して、まずは私の頬に伝う涙を拭いてくれた。

「おまえはだましてねえよ。こいつに“みんなのためになるから黙ってろ”って言いくるめられたんだろ?」
「さっすが兄ちゃん。よく分かってんなー」
「おまえの考えそうなことくらい、手に取るように分かる。ったく、おまえと何年兄弟やってると思ってんだよ、どアホ」

とかなんとか部長はブツブツ言いながら、今度は手に持っている私のメガネを拭き始めた。


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