初恋も二度目なら
「こいつ、アメリカ行く直前に、つき合ってたカノジョにふられたとかでさー、ずーっといじけてたんだよ」
「俺はいじけてない、どアホ」

と言った部長の声が、遠くから聞こえる気が・・・する・・・。

「部署違うから、社内であんま顔合わせることないって言ってたが、やっぱ社恋(しゃれん)はなぁ。別れたときが・・・小夜ちゃーん?」
「ぶちょ・・・ぉ。わたしには、“誰にも言うなー”・・・・・って言った・・・」
「俺は“社内のヤツらには”と言ったはずだ。それにこいつには名前を言ってないし、それが帰国しなかった理由じゃない」
「じゃあ、なんで・・・?」
「俺の気持ちの問題だ。小夜、眠いのか?メガネ外すぞ」
「うー・・・・ぶちょおー。まだー、いっしょー・・・」
「・・・当たり前だろ、どアホ」
「じゃ、サヤコちゃんはゲストルームのベッドに寝かせましょうね」

それまで私は、隣の部長に寄りかかって・・・眠っていた。

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