初恋も二度目なら
その言い方は淡々としてて、そこに20年の歳月を感じた。
でも、やっぱり部長の心の中で、まだお兄さんは存在しているとも思った。
亡くなった20歳のままで。

「もう20年経つんだよなぁ。俺はいつの間にか兄ちゃんの年追い越してるし。兄ちゃん、生きてたら40だぜ?」
「うん・・・」
「そういやあさみさん、“二度目の成人式を迎えた”って言ってたな。フツーに40って言えばいいのに」
「その表現のほうが素敵じゃないですか」
「ふーん。そんなもんか?」
「はい。そんなもんですよ」
「あ、そ。ほら」と部長は言うと、私にスマホを返してくれた。

そして「ありがとな」と言って・・・ニカッと笑った。

あっ!なんか・・・部長の笑顔が・・・キラッと光って目に眩しい・・・!!
やっぱり長峰部長って、カッコ良過ぎです・・・!

「じゃー仕事始めるか」
「はいっ。あの、部長?」
「なんだ」
「あの・・・私が婚活してるってこと、誰にも言わないでくださいね」と私が小声で頼み込むと、部長は片眉を上げてニヤッと笑って、「なぜだ」と小声で問い返してきた。

「なんか、結婚したいとか、彼氏見つけたいって焦ってるというか、がっついてるというか、そういう風に思われるの、恥ずかしい・・・です」
「おまえの心理はよく分からんが、まあいいだろう」
「あぁ、ありがとうご・・・」
「その代わり、これから毎朝、俺にコーヒーを淹れろ」
「・・・へっ?」
「おまえが淹れたコーヒーは、すげー美味い」と言った部長の後姿に向かって、私はかろうじて「わかり・・・ました」と呟いた。

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