初恋も二度目なら
「・・・これでよし、と。はい」
「ありがと」
「あのさ、卜部ちゃん」

と言った川端くんの声のトーンが、少し抑え気味になっている。
周囲には誰もいないのに。
もしかして、誰にも聞かれたくない?
それは私も・・・。

だから私も川端くんに倣って、「はい」と小声で返事をした。

「このことは内密に・・・特に長峰部長には言わないでおきたいんだ」
「まぁ、川端くん!私もまさに、全く同じことを提案したかったの!」

別に部長に知られたからって、どうってことないよ?
でも・・・「ほら見ろ。俺の言ったとおりじゃないか」とか言われそうな気がして・・・。
なぜか私をせせら笑っている、仁王立ちした部長の姿まで、鮮明に脳裏に浮かんできてるし!

「オッケー。じゃあ、時間とか待ち合わせ場所とかは、今後これで連絡するから」と川端くんは言うと、自分の黒スマホを、顔の横に掲げた。

「了解ですっ」
「じゃ、そういうことで」
「おつかれさま」


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