初恋も二度目なら
というコメントは、10人中9人が言ってくる。
無難というか・・・めでたいようで、実はめでたくない、みたいな。
だって元旦がお誕生日だと、私は実家に帰ってるから、彼氏と一緒に過ごしてお祝いすることはできないし。
「だったら私と一緒に実家に行きませんか?」なんて言える関係にまで、発展していれば・・・。

でも私の誕生日を聞いた長峰部長は、「ぞろ目だな」と言っただけだった。
そして年末年始は実家で過ごす私のために、「今、小夜(さや)の誕生祝いをしよう」と言ってくれて・・・ってこら私!
合コン中の今は、部長のことを考えないのっ!

ごまかすように私が咳払いをしたとき、「俺は37」と山中さんが言った。

あ。部長と同い年・・・じゃない、じゃなーい!

「もうすぐ38になるんだ。だからさ、今年の誕生日もひとりで祝うことになるなら、俺また仕事入れよっかなー、とか思ってるわけ」

これを皮切りに、山中さんは一人で、そして一方的に、自分のことを話し始めた。

私は一応、適当なところで相槌をうったり、「そうですか」とか言ってるけど、山中さんは果たして私のリアクションを見て、聞いているのか、定かじゃない。
なんかこの人・・・まるで壁に向かって独り言を言ってるみたいだし・・・あれ?
ってことは、私が壁なの!?
まぁ、それは今に始まったことじゃないよね・・・。

私はつい笑いそうになった顔を、慌てて引き締めた。

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