初恋も二度目なら
「卜部さんは、このパーティーに参加したの、初めてじゃないですか？」
「いえ、二度目です。最初は２月のフリースタイルに参加しました」
「あぁそうでしたか。じゃあ２月にも会ってたかもしれないんだ。卜部さんみたいな人に会ってたら、かなり印象に残ってたと思うんだけどなぁ」

前回はメガネをかけてたし、髪も下ろしてなかったし。
歓迎会の時にも着た、お気に入りの白いパンツスーツだったから、合コンの時同様、私は目立たない壁になってて、結局誰とも話をすることもなく、誰が参加してるのかも把握しないまま、適当に食べて飲んで、頃合いを見計らって帰ったのよね。

私は心の中で自嘲しながら、今自分が着ている、赤と白のツイード地のシャネル風スーツのスカートを見た。
シャネルスーツが似合う年齢になってる頃には、本物のシャネルスーツが買える、金銭的余裕があるといいな。
という願いをこめて、自分でこのスーツをデザインして、生地やボタンを買って（採寸と裁断は、お母さんが手伝ってくれた）、自分でミシンをかけて作ったのよね。

「えっと・・・。そのネクタイの色、素敵ですね」
「あ、そう？実はこれ、母の見立てなんですよ」
「は・・・は？」
「はいー」

この活き活きとした表情！
もしかしたら森下さんって・・・マザコン！？
外では「母」と言ってるけど、もしかしたらおうちでは、「ママぁ」とか言ってるんじゃあ・・・。

と想像しただけで、私はちょっと・・いや、かなり引いてしまった。


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