初恋も二度目なら
そんな私の気持ちなんて、部長は知ってか知らずか、はたまたお構いなしなのか。
「おまえはこの花が好きなのか?」と言いながら、髪に触れていた手を、結んでいるゴムについてるお花部分に移動させた。

「ひゃっ!あっと・・・はぃ」
「ふーん。おまえんちにもあったよな、これ。何て名前だっけ」
「椿、ですけど、これは作り物であって、本物じゃないですよ」
「いくら花オンチな俺でも、触れば分かる」
「は?花オンチ?」
「花の名前はバラ以外知らん、って程度の花知識しか持ってないってことだ」
「あ・・・そうですか」

分かりやすい!

そして、部長の表現が面白くて、私はついクスクス笑ってしまって。
おかげで心臓のドギマギが収まってきた。

けど、相変わらず心はときめいて・・・じゃないっ!

「私、椿の花が好きなんです。大きさとか赤い色とか、形も。和的な雰囲気に癒されるし。控えめな華やかさに心が落ち着くというか・・・」
「なるほど。確かにおまえは赤が似合うし、椿の花もよく似合う。だが・・・」

と部長は言うと、椿を持っていた手を、今度は私の顎に移動させた。

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