初恋も二度目なら
「また私“なんか”と言ったな」
「え。そ、うでしたか。あの、ぶちょ。ちかい・・・」

私、キスされるの?長峰部長に・・・。

前にも後ろにも、左右にも避けられない私は、最終手段に目をつぶった。

1秒、2秒、3秒・・・あれ?部長?
キスはおろか、何も・・・してこない。

私が恐る恐る目を開けると、まだ間近に部長の顔があった。

うわぁ!
やっぱり部長の方が目ヂカラあるし、いつものハンサムオーラだって、眩しいくらいハンパなくあるじゃないの!!

そんな部長は、私が目を開けるのを待っていたのか。
私と目が合ったのと同時にニカッと笑うと、「今度そのフレーズ聞いたらキスしてやる」と囁いて・・・やっと解放してくれた。

「な、な・・・もぅ、わたし、ひとりで帰りますっ!」
「あ?何抜かしてんだよ、てめえは。もう車の前まで来てんだよ」
「・・・え」

あ。ホントだ。
このシルバーの流線型の外車(だけど右ハンドルで、名前は知らない)は、間違いなく部長のだ。

「ほら、乗れ」と部長に言われた私は、フゥとため息を一つつくと、「・・・はぃ」と呟いて車に乗った。


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