初恋も二度目なら
「もう部長!笑わないでくださいよっ」
「わり・・・。確かに、そう何度も参加してれば、同じ野郎と鉢合わせするようにもなるだろうしな」
「あ。なるほど。それだと変化がないですね」
「それに、互いにバツの悪い思いをすることになるだろう。だから月1くらいでいいんじゃないか?」
と言う部長に、私は感嘆の吐息をついた。
「そこまで考えが及ぶなんて。さすが部長!」
「恋愛に関しては無知の極みであるおまえに、この程度のことを褒められてもなぁ。あんま嬉しくねえ。てか基礎だろ、これ」
「・・・今の発言、撤回します」
「すねるな卜部」
・・・そう。
部長は仕事外の完全なプライベート時は、私のことを「小夜(さや)」と呼ぶ。
そして会社にいる時は、たとえプライベートな話をしていても、「卜部」と呼ぶ。
これが部長流、「TPOをわきまえる」呼び方、らしい。
私は「すねてません!」と言い返しながら、金曜の夜のことをまた思い出していた。
『小夜。今は仕事時じゃねえから、俺のことを“部長部長”呼ぶな』
『うっ。でも私、切りかえベタで・・・。部長みたく、TPOをわきまえる呼び方なんて器用なこと、できませんっ!』
『ったく。どこまでカタいんだよ、おまえは・・・。まあいい。俺のことは、おまえの好きなように呼べ。今までどおりな』
『あ・・・は、ぃ』
『“部長”と呼ぶなとさっきは言ったが、実は俺、おまえに“部長!”って呼ばれるの、好きだからさ』
あのときの部長の、爽やかな「ニカッ」顔が眩しくて・・・。
また思い出してしまった私は、意味もなく体をモジモジと動かしてしまった。
「わり・・・。確かに、そう何度も参加してれば、同じ野郎と鉢合わせするようにもなるだろうしな」
「あ。なるほど。それだと変化がないですね」
「それに、互いにバツの悪い思いをすることになるだろう。だから月1くらいでいいんじゃないか?」
と言う部長に、私は感嘆の吐息をついた。
「そこまで考えが及ぶなんて。さすが部長!」
「恋愛に関しては無知の極みであるおまえに、この程度のことを褒められてもなぁ。あんま嬉しくねえ。てか基礎だろ、これ」
「・・・今の発言、撤回します」
「すねるな卜部」
・・・そう。
部長は仕事外の完全なプライベート時は、私のことを「小夜(さや)」と呼ぶ。
そして会社にいる時は、たとえプライベートな話をしていても、「卜部」と呼ぶ。
これが部長流、「TPOをわきまえる」呼び方、らしい。
私は「すねてません!」と言い返しながら、金曜の夜のことをまた思い出していた。
『小夜。今は仕事時じゃねえから、俺のことを“部長部長”呼ぶな』
『うっ。でも私、切りかえベタで・・・。部長みたく、TPOをわきまえる呼び方なんて器用なこと、できませんっ!』
『ったく。どこまでカタいんだよ、おまえは・・・。まあいい。俺のことは、おまえの好きなように呼べ。今までどおりな』
『あ・・・は、ぃ』
『“部長”と呼ぶなとさっきは言ったが、実は俺、おまえに“部長!”って呼ばれるの、好きだからさ』
あのときの部長の、爽やかな「ニカッ」顔が眩しくて・・・。
また思い出してしまった私は、意味もなく体をモジモジと動かしてしまった。