初恋も二度目なら
先生ってどんな人なんだろう。
メールの文面から、優しくて、気さくな人柄じゃないかと察していた私の読みは、外れてはいなかった。
だけど・・・。

「サヤコちゃんね?」
「は、いっ」
「いらっしゃぁい!ようこそ、婚活お料理教室へ!さあさ、中へ入って~」

先生のパワーに圧倒されながら、私は「お、おじゃまします」と呟きつつ、靴を脱いで上がった。


「改めまして。ワタシ、婚活お料理教室を開催している、高原由紀夫です」
「卜部小夜子です。先生、これから3ヶ月、ご指導よろしくおねがいします!」
「まあまあ、そうカタくならないで。ここではみんなで作ったお料理をおいしく食べながら、みんなで楽しいひとときを過ごしましょうっていうのが主旨だから、ワタシのことは、“先生”じゃなくて、“ユキオくん”って呼んでね」
「え?でも・・・」
「みんなそう呼んでるっていうかー、呼ばせてるの。ワタシ、見かけと名前は一応完全な男でしょ?だからね、これは練習だと思って。カレシまでいかなくていいけど、仲の良い男友だちと一緒にいる、みたいな感じの。ここに来る女子ってー、男慣れしてないコが大半だから」
「あぁ、なるほどー」

と私が言うと、先生、じゃない、ユキオくんは、私を安心させるようにニッコリ微笑みながら、私の腕に優しくトンと触れた。

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