初恋も二度目なら
ご飯を炊くとは言っても、ユキオくんのお宅には炊飯器がない。
私は鍋炊きは初めてなので、ユキオくんからコツを伝授してもらった。

「鍋炊きって、思っていたよりずっと簡単ですね」
「でしょ?休みの日くらい、お鍋でごはん炊くのもいいかも・・あぁジュンコちゃーんっ。そろそろイワシのチェックをしてちょーだーい!」
「はーい!」
「じゃあここはひとまず終わったから、サヤコちゃんは、グレープフルーツを絞るのを手伝ってあげてー」
「はいっ」

というわけで、白米に1割程雑穀を混ぜたごはんとイワシの塩焼き(大根おろしつき)、ニンジンと豆腐とわかめのお味噌汁、トマトとキャベツのサラダに、玉ねぎときのこ数種類のマリネがズラリと食卓に並んだ様を見た私は、「わぁ!」と感嘆の声を上げた。

「とっても美味しそう!」
「ユキオくん、今日も写真撮っていいですかー?」
「どーぞー。でも5秒で終わらせてね」とユキオくんが言うと、みんな「はーい!」と返事をして、手早くスマホで写真を撮った。

あ。なんか私・・・出遅れた。
次からは私も写真撮ろう!

「さあさあみんなー。冷めないうちに食べましょー。サヤコちゃんはそこに座って」
「あぁはいっ」

というわけで、「じゃあみんな。手を合わせて・・・いただきまーす!」というユキオくんの合図を皮切りに、写真撮影も無事終わった、盛りつけが美しい(もちろんユキオくん担当)お料理を、みんなでおしゃべりをしながら、楽しく食べた。

< 84 / 256 >

この作品をシェア

pagetop