黒い羽と嘘と執着
「椿、悪いな」
「何のこと?」
私は知らないふりをして通りすぎようとする
燿はそんな私の手を掴んでその場にとどまらせた
「ノエルは悪気があったわけじゃねぇ、ただ、椿が俺らに言えないことがあるように俺らにだって言えないことがあるってことだ」
「燿は……次朗君が何で元気ないか知ってるの?」
「……ああ」
燿はいたって冷静に答える、きっと悪気は無いんだろう
まあ、付き合いの短い私は知らなくて当然なんだけど……
やっぱり何も知らないのは嫌だな