黒い羽と嘘と執着

「次朗の家は坂田組っていう…まあいわゆるヤクザだ」



「うん」



「次朗はそこの跡取りだ、でもな、次朗は次朗の親父さんと愛人との間に生まれた子供なんだ
だから本来組を背負う立場にはならない
だが、本妻との間に子供が出来なかった次朗の親父さんは次朗を跡取りにした、次朗は小さい時から親父さんに実の子のように育てられた
でも内心本妻はそれを疎ましく思っていた
おそらく、愛人に自分の立場を脅かされている感覚がしたんだろうな、次朗は6歳の時に本邸で暮らすようになったんだがその時から今までずっと本妻からの暴力を黙ってうけてんだ」



そんな



「次朗君はなにもしてない」



「ああ、でも次朗は少なからず本妻に負い目を感じている
事実、次朗が組を継いだら本妻の立場は弱くなる、それを分かってて次朗は黙って暴力に耐えてんだ」



そんなこと間違ってる、次朗君は本妻さんのことどう思ってるんだろう?




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