恋のお相手は小さな男の子



あー、もう。


狡いのは、……私かもしれない。



「いや、…もういいです」



さっきの質問を無かった事にする様にそう言うと、「ふーん。あっそ」と終わる会話。


もうちょっと突っ込んで聞いてくれても…なんて自分勝手な事を思ってしまうが、きっと佑真君は察しが良いから、突っ込んで聞いても私が何も答えないのも予想済みなのだろう。


ぼけっとそんな事を考えていると、


「ほら、帰るぞ!」


という佑真君の声と共に、私の右手がふわっと温もりに包まれた。


そのまま佑真君が歩き出すから、引っ張られる様に足を動かす。



「今日も、……その、……送ってくれるの?」



恐る恐る後ろを付いていきながらそう聞くと、クルッと佑真君が後ろを振り返る。



「嫌?」



こてんと首を傾げる佑真君にトクンッと心臓が跳ね上がる。


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