恋のお相手は小さな男の子
頭の中が混乱して呆然と立ち尽くしていると、
「気を付けて帰れよな。じゃあな」
そう言って私に背を向けて歩き出す佑真君。
「ちょっ、…ちょっと!」
慌てて佑真君を捕まえようと手を突き出したが私の手は空を掴むだけ。
どんどんと遠のいていく佑真君の背中。
その背中に向かって、
「佑真君!!」
そう大声で叫んだのに、佑真君は振り返って私を見てくれない。
いつもだったら、うっせぇな…とか悪態を吐きながらでも、絶対に私の呼び掛けに耳を傾けてくれてたのに。
徐々に熱くなる目頭を誤魔化す様に歯を食い縛る。
けど、そんな程度じゃもうどうにもならなかったらしくて、視界はどんどん霞んでいく。
水に濡れた視界と頬をゆっくりと伝う涙。
頬から顎へと伝ってきた雫は溜まった後に下へとポトンッと落ちていく。