恋のお相手は小さな男の子
少年に馬鹿にされました
まだ数人しか来ていない朝の教室は、自棄に静かだ。
そのせいか、余計に昨日の事を思い出してしまう。
昨日は三浦先輩の事といい、あの少年の事といい、勘違いばかりだ。
昨日の事を思い出すのももう嫌で、ふうっと息を吐くとズルッと机の上に突っ伏す。
もう、私はクダグタだ。
そう思った時、
「溶けてるねぇ、葉月」
アニメのキャラクターの様な甲高い声で、そんな言葉が降ってきた。
ゆっくりと顔だけを上げると目に入る彼女の姿。
ふわふわの長い髪とその声が余りにもマッチしていて、印象的過ぎる彼女は私の友達だ。
「おはよ、夕香(ユウカ)」
「大丈夫?」
挨拶をした私に心配そうな目を夕香が向けてくるのは、きっと昨日の事を知っているからだと思う。
昨日、三浦先輩に振られた事を伝えたのは、夕香とあの小学生にだけ。
それでも、
「三浦先輩の事?」
そう聞き返すのは、もう思い出すのも嫌だから。
でも、夕香はそんな私を逃がしてくれないらしい。