恋のお相手は小さな男の子



「ううん。……自分で言うよ」



苦笑いをしてそう言うと、「そっか」と夕香がふんわりと笑う。



自分で言えるって言った事に、きっと安心……してくれたんだろうな。


私、……めちゃくちゃ心配掛けてるよ。



そう思うと自然と眉が下がる。


その時、夕香が何かを思い出した様にパチンッと手を打った。



「そうだ!今日の放課後は駅前のケーキバイキング行こっ!どうせ、葉月暇でしょ?」


「ケーキ!勿論、暇でございます」



ケーキの単語に食い付くのは、大概の女の子の宿命だ。


あの口に入れた時の幸福感は堪らない!



いつもならそこで、じゃあ決まりね!と夕香が言うのだが、今日は別の言葉が続く。



「今回は、私の奢りね!」


「えっ!?」


「今回だけね」



そうはにかんで笑う夕香。


振られた私が少しでも元気が出るようにという心遣い。


本当に夕香が友達で良かった。



「夕香、ありがとう!大好き!」



そう言ってギュッと目の前の夕香に抱きつけば、ふふっと笑って「知ってる」と、背中をぽんぽんと叩いてくれる。



うん。やっぱり恋より友達だよ。


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